| ●レプリカ礼讃・レプリカのすすめ | |
「なんでも鑑定団」というTV番組を見ている人は結構多いと思います。その中に、目利き自慢の素人に本物はどれかを当てさせるコーナーがあります。しかし大抵ははずれているようです。目利きは一朝一夕には身につかず、多くの時間と金を必要とするということでしょう。 その程度だから、展示する複製品も適当に作っていても分からない、というつもりはありません。現在の日本のレプリカ技術は世界でも一級のものだと思います。型取り技術においても彩色技術においても。考古遺物で本物とレプリカを並べて、どちらがどうかと聞いて、確実に正解できるひとは、普段からその実物に接している人くらいなものではないでしょうか。そんなことだから捏造事件が起こるのだといわないでください。本当に日本のレプリカ技術は優秀なのですから。 絵画は平面に描かれた物で、また、作家の独特な描き方やくせなどがあって、それを模倣することは至難だと思います。考古遺物の場合はほとんどはなまの状態でなく、何百年何千年と時を経ていますから、くせに属するような模倣対象がありません。だから精巧にレプリカが作れるのです。 しかし、しかし人間は観念の動物なのです。「犯人の顔写真」と下に書いてあれば、とたんにその顔が悪人におもえてしまうという世界なのです。文字が感情を支配してしまうのです。レプリカの文字を見たとたんに、興味が薄れ、「なんだにせものか」の世界に入ってしまうのです。にせものと言われればにせものなのですが、表面に入っている情報はほぼ100%実物と同じなのです。だから、レプリカという文字は不要だという意見もあります。私たちにすれば、虚心にそのものを観察してもらって、得られる情報はきっちりと吸収してもらえたらと願っています。 考古遺物においても、劣化は避けられません。特に金属器や木器などは出土した状態以上には絶対なりません。年々劣化が進みます。貸し出し回数が多いものほど進みます。従って出土してすぐにレプリカをとっておくことは、遺物の記録のためにも、実物をよりよい状態に保つためにも必要なのです。遺物の保存のために、年間展示期間何日までと決めて展示するためにはレプリカが必要です。ちなみに当館のレプリカには劣化の進んだ実物よりいいのがいくつもあります。 (大阪府立弥生文化博物館・石神) |
|